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　お菓子の部屋　　アプトのハッピールーム　

No．１　お祈り編　２００１・４・７

さて、お菓子作り裏話といっても、有名シェフやお菓子職人さんのお話ではありません。
当ショップのオーナー（通称アプト）のお菓子作りのお話です。(^_^;)
ガッカリした方ごめんなさい。
でも、ワタクシ、毎日お祈りしながらつくっているのです。

なんといっても、三大原料の「卵・乳製品・小麦粉」を使わないわけですから、
それらを使ったお菓子にはかないっこありません。
もっとも、一部のお菓子には例外もあります。
たとえば、シフォンケーキなどは乳製品なしでもおいしいお菓子ですよね。
和菓子になると、卵・乳製品・小麦粉なしのお菓子って、いっぱいあります。
なんといっても、あんこの世界。わらび餅とかもおしいしですよね。
小さな頃は、屋台でわらび餅を売りにきていたおじさんがおりました。
それに、飴細工のおじさん。白い飴で、とっても器用に、うさぎや犬、猫とか作ってくれましたっけ。
パットライスのびっくりするような音とか・・・　あっと、なんか話がそれていきましたが、
つまりは、洋菓子をつくっていた過去を持つワタクシは、
どうしても、その味と比べてしまうわけです。

美味しいといわれている洋菓子店のお菓子も食べ歩き、
（もっとも、ここ数年は食べ歩いておりませんが・・・・）
その美味しさに感動し、美しさに感激し、奥行きのあるその味を舌が覚えているわけです。
たしかな技術に裏打ちされて、繊細に変化してゆく卵にバターに生クリーム、
最上級の小麦粉、その他もろもろの高級素材・・・・・
実際のお菓子作りは、美しさとはうらはらに重労働ですけどね。

試作品を焼いているときなんかは、
オーブンの前を離れられないですね。いったりきたりしてます。
焼きあがったお菓子にナイフをいれる瞬間、　　　　　　　　　　　　　　
もう、祈ってますよ。
「どうか、思っているとおり焼けていますように！」
「美しい断面でありますように！」
「神様、お願い！」
ちなみに、ワタクシは神様を信じております。あの世も信じております。
そして、思っていたようなお菓子にならなかったとき、
「このやり方ではダメということが分かったのだから」とつぶやいて、
また、次なるお菓子を考えるわけです。

ここ一ヶ月のワタクシの食事は、ほとんどこの失敗作といっても過言ではありません。
さすがに最近は、両親にこっそり内緒で、
我が家の4匹の飼い犬に食べてもらっています。
もっとも、これは犬にとってはよくないことなので、ほどほどにしていますが・・・
やっぱり、失敗すると、胸がちょっぴり痛いですね。
飢餓で亡くなっていく小さな子供もいますから。
それに、材料にも申し訳ないです。
自分の未熟さも痛いです。
時々、普通の制限なしのお菓子をつくってストレスを解消しています。
そしたら、また元気がでてきて
「もっともっと美味しいお菓子を開発したいな
あのちっちゃな男の子や、7月にお誕生日を迎える3歳の女の子や、
まだ会ったこともないアトピーで困っている人に喜んでもらいたいな」と頑張るわけです。

現在では、アトピーの原因として食物アレルギーを重視するお医者さまはあまりいないと聞いています。
でも三大アレルゲンとして、卵、牛乳、そして大豆にかわって小麦が登場しているという報告もあるようです。
詳しいことは専門家におまかせするとしても、アレルギーのことをもっともっと知りたい、今日このごろです。

さて、本日ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
続きは、また近いうちに！

　　　　　　　　　　　　　

Ｎｏ．２　徳島って田舎なの編　　２００１・４・９

さて、これを読んでださっているお客様にお尋ねします。
あなたが住んでおられるところが、仮に北海道だといたしましょう。
あるいは、東北かもしれません。
では、徳島ってどこにあるかを言える方、手を上げてみてください。

「そんなこと常識だわ」と思われたお客様はOKです。(^o^)
「エッと、どこだったけ。たしか阿波踊りだよね。四国だよね。」など考えられたお客様、
気になったら、後で地図で確認してみてくださいね。(^_^;)
それでは、ワタクシが、これから徳島がいかなるところかお話いたしましょう。
といいましても、阿波踊りや渦潮の話ではありません。
お菓子材料のお話です。

開店するのにあたって困ったことは、あんな事、こんな事、もう一杯ありました。
徳島県人のワタクシとしては、この故郷を擁護したい。
でも、でも、スコップで庭に穴掘って大声で言います。
「徳島って、徳島って、こんなに田舎だったの！！」
「どうして、こんなに製菓材料や道具の販売店がないの！」
「なんで、こんなに自然材料を売ってる店がないん！」
「なんもなしで、どないして小麦粉なしのお菓子が焼けるんじゃ！」　
スミマセン。少し興奮して徳島弁になりました。(ｰｰ;)

どうも、私が考えていた以上に、徳島は田舎だったようなのです。
私が作ろうとするお菓子に欠かせない材料が身近にないということ。
これは痛かったです。
イエイエ、全部ないとは言いません。国産小麦粉やきび砂糖、オーガニック商品、
有機栽培の野菜や果物、地鳥卵、いくらなんでも、これくらいは手に入ります。
でも、でも、ちょっとしたものがないのです。あともう少しの材料が手にはいらない。
たとえばコーンパウダー、国産大麦粉、ヴァローナのココアパウダー・・・・
どうやったら手に入るんだろう。どこに行けば買えるのかしら。
あっちへいったり、こっちへいったり、行けども行けども・・・・・・徳島には無い！(T_T)

ごめんなさい。もう一度、庭に穴を掘らせて下さい。
「なんて、徳島は不毛なの」
「どうして、どうして、この程度のものすら無いの・・・・・・」　
「ちょっと行って買ってこようっていえる位の距離にすら無いなんてあんまりよ！」
もう、大声もでません。
こんな小さなお店で使う消費量なんて、たかがしれています。
通販なんて仕入れ量の大きな購入などしたら、工房が材料で埋まっちゃいます。
とまあ、ここまでは今年の２月までのお話。

それから、考え直しました。
「それ無しでも作れるお菓子を考えるしかない。」
「まあ、徳島にも誇れる素材が一杯あるのだから、それを使おう。」
 「神様は、きっと、与えられた材料でベストを尽くせといっておられるのよ。」
「きっと、そこに私の修行課題があるのだわ」
と、だんだん盛り上がっていきまして、
今では、農産市が大好きなおばさまになってしまいました。

徳島産の春にんじんなんか、甘くて美味しいですよ。
シャリシャリすって、パクッて食べると、気分はウキウキ、うさぎさん。
外はポカポカ、気持ちがよさそう。
日向ぼっこしたいけど、お菓子焼かなきゃ。
こんなことだったら、庭を掘った時に、人参とかはっさくとか植えとけばよかったな。
でも、近くのおじさんが「好きな時に農作物、抜いていっていいぞ」って言ってくれた。
それに、梅の実がなるから、今度はそれでお菓子を作ってみようっと。
そういえば、去年漬けた梅酒とか、どこやったっけ。

今ではワタクシ、すっかり故郷擁護のりっぱな徳島県民です。

※その後、これを読んだ皆様から、あたたかなアドバイスを頂いたり、材料を送っていただいたりして、それなりに材料を揃えることができるようになりました。やはりインターネットは強かった！　２００１・５・１
　

　　　　　　　　　　

Ｎｏ．３　アレルギー対応のお菓子・創造と破壊編　　２００１・６・17

No.2の続きですが、5月末に、工房の前の梅から3キロの実を収穫しました。
無農薬のとてもきれいな梅の実だぞ〜。これでお菓子をつくるんだ。
（もっとも、私はは何もせず、もぎ取ってくれたのは両親です。）
この間、私は自然食品店で取材をしておりました。

自然食品店は仕入れや知識の収集にはもってこいです。
スタッフの方々やオーナーさんのアドバイスは、とってもありがたい。
食材やアトピーの注意点、アトピーっ子ちゃんの手軽なおやつ等など、参考になることばかり。
時には、試作品を持っていって試食をしてもらい、改善点を教えてもらいます。
どのお店のオーナーさんも親切に教えてくれるんですよね。
それで、ついつい、気がつけば１時間もお話をお伺いしたりして、営業妨害しています。

さて、自然食品店での情報収集などの結果、
いつのまにか消えていったお菓子や、改良を余儀なくされたお菓子がでました。
いまだったら、キャラメルりんごとか作らなかったでありましょう。
きっと、カラメルりんごになっていたと思います。
この微妙な差が、アトピーッ子ちゃんにはとっても大切なことだったんだよね。

私が、お菓子を最初に作ってあげたアトピーっ子ちゃんは、かなりかるいほうだったんだね。
バナナのお菓子もたくさん焼いたけれど、バナナは本当は食べない方がいいものに入るんだね。
いろいろと本も読んで、五大除去以外にも、食べれないものや、食べない方がいいものが、こんなにもあるということを知りました。(･･;)
でも、食べれないものも増えたけど、安心して食べられる材料も増えたよ。(^｡^)

そこで、毎度毎度の、お菓子創造と破壊の日々をおくっております。
私としては、カチッと制限枠を固めてしまわないで、枠のゆるいお菓子も作っていこうと考えています。
材料を明記して自由に選んで頂くほうが、楽しいと思うんですよね。
これからも、安心して食べて頂ける材料をつかって、美味しいお菓子を作っていきますから、ご意見などありましたら、どんどん言ってきて下さいね。(__)

　　  　

Ｎｏ．４　クリスマスの思い出編　　２００１・８・１

さて、私が、まだカワイイカワイイ小学１年生だった頃のことです。
ある朝、目が覚めると枕もとに大きな箱がおいてありました。
開けてみると、中に入っていたのは、夢にまでみた白いクリスマスケーキ！！
クリスマスの朝だったんですね〜。
父が、私に言いました。
「サンタクロースが煙突から入ってきて、置いて行くところをミタ。」
信じましたね。もうすっかり！！　それこそ目を輝かして！！
頭の中では、赤い服のサンタさんが、ケーキを抱えて煙突から降りてくる姿が、ありありと浮かんでは消え、浮かんでは消えて・・・・・、うれしかったな〜！！
よほどうれしかったのか、どうやって、ケーキを食べたのか、全く覚えていません。ハイ。

その当時、まだ、どこのお家にも瞬間湯沸し機などという便利なものはなかったと思います。
カラーテレビが出始めたころですからね。
当時のおんぼろ我が家でも、竹を燃やしてお風呂を沸かしておりました。
ですから煙突があったわけで、幼心に、サンタさんの服が、ススで真っ黒になったのではないかと、小さな胸が痛みました。ああ、なつかしいな〜。
それに、“どうやったら、あの小さな煙突からサンタクローズが入ってこれたのか”
真剣に考えましたね。
無知というには、あまりな純真で透明な心。なんという素直さ！　シミジミ(ｰｰ;)

その後なのですが、当時の我が家では、ケーキなんかは贅沢品。
なかなか食べられませんでした。
当然のように、この強烈な思い出が、ケーキに対するあこがれに拍車をかけて、あとはケーキ大好きまっしぐら。
暇なときには、ウットリとお菓子の本を眺めて、このお菓子が本の中から出てきたらいいのにと願っておりました。
まさに夢みる少女だったんですね〜。（長島監督風）
後々に自分がお菓子職人になって、クリスマスがコワイと思うようになるとは夢にも思いもせんでした。

今から、お菓子屋を目指す若い子達よ。
クリスマスだけに限らず、バレンタインとかも覚悟しておいた方がいいよ〜。
身体が資本、体力と気力の世界がこれでもかこれでもかと続くぞ〜。
女性だからとかいう甘えは通用しないと思ってね。
聖夜などという文字は、どこかにぶっ飛んでいると思うべし。
あのクリスマス前後の頭フル回転、超がつく忙しさにロマンを重ねるのは、無謀を通り越して非常識というものです。
でも、最近は違うのかな。限定販売とかかなり計画的だからね。

大手のお菓子屋では、夏にはクリスマスの企画をし計画を立てて準備を始めます。
すでに終わっちゃってるところもあるかと思いますけど。
小さいながらも、Ａｐｔ-Ｃａｋｅでも、クリスマスの準備をしたりしています。
真夏にクリスマスの話なんか書いちゃってるのは、こういうわけなのですよ。
別に、猛暑で頭がパーになったわけではありません。

まあ、準備といっても、とりあえずは、ドライフルーツを刻んで洋酒に漬けたりしているだけなのですけど。
ただ、アトピッ子ちゃんには洋酒は無理ですからね。
酔っ払って、クダヲマカレタラ大変です。(ｰｰ;)
今から、アトピッ子ちゃん達に喜んでもらえるようなクリスマスのお菓子を考えないと・・・(ｰｰ;)
なんとかサンタさんに代わって、美味しいクリスマスのお菓子をプレゼントできたらいいな。
（もっとも、お父さんお母さんに買って頂くのだけれども）
でも、もうサンタクロースの存在を信じている子なんていないだろうな〜
「あれは、古き良き時代の思い出」と、一言で片付けてよいのかどうか。
なんだか哀しいナ。(-_-)
そう感じるのは、私だけなのかな〜　(T_T)

　　　　　　　　

  Ｎｏ．５　クリスマスの準備編　　２００１・１１・２８

いつのまにやら、No.４から4ヶ月。この間、いろいろなことがありました。
世界は米国の同時多発テロで激震し、個人的にはPC故障で心拍数が跳ね上がり、
ＰＣトラブル修復作業のなが〜いトンネルをぬけると、そこは雪国ならぬクリスマス。
仕入れだ、試作だ、さあタイヘン！という時期になっておりました。
つきましては、「来年はこんなおバカなことはしないぞ〜」という戒めも兼ねまして、
クリスマスの準備顛末奮戦裏話？を書いておこうと思います。

まず、クリスマスケーキのデザインが二転三転ならぬ十転くらい致しました。
これで雪だるまができるくらい、転がりましたね。ほんと。
アトピッ子ちゃん達にとって、メレンゲの天使様やチョコレートプレートはまず×印。
ろうそくも、赤い着色料で真っ赤なサンタさんはお引取り頂くのが無難だし、
（この着色料つきロウが、ケーキの上にポタッと落ちたらと想像するとお化けよりもコワイ）
それをいうなら農薬庇護の元に育った苺さんにも、白いハンカチを振らねばなりません。
となると、ヒイラギも手作りしたほうがいいかも・・・・・(･･;)
ということで、クリスマスケーキの飾りを夜なべで内職することにしました。
ヒイラギ一本一本にリボンをつけることなろうとは、予測してなかったなあ。
昼はお菓子工房、夜はクリスマス飾り工房になってしまって(ｰｰ;)　来年は考えようっと。

さて、苺の代わりに、低農薬のりんごをソテーして使うことにしたのですけど、
最初に、とってもおいしい紅玉が出荷されてきたので、てっきりこれが続くんだと思い込んでおりました。
ところがどっこい、そうは問屋が許さない。
有機肥料低農薬栽培のりんご農園さんなので、収穫量が少なく、おまけにりんごの種類によって出荷時期も違ってくるということが、あとになって分かってきまして、それからがもう大変。
必要量を確保するために、低農薬ならなんでもOKということで、本来なら手を出さないジョナゴールドや陸奥にまで手を伸ばし、最後は黄林にたどり着いて一件落着となりました。
これを、煮崩れしないようにソテーするのに、また神経を使いまして、
最初に出荷されてきた紅玉を遠慮しないで買い占めておくんだったと、つくづく後悔しましたね。
まあ、でも、このくらいあれば大丈夫でしょう。よかった。よかった。(^_^;)

最終的には、とってもシンプルなデザインになってしまいましたが、
どうか、お母様方、寂しいなと感じられましたら、何か足してくださいね。(..)
作り手としましては、華やかさよりも、安全で安心して食べられる事を最優先させて頂きました。
華やかさには欠けるけど、真心だけはいっぱいだからね〜。

お次は、子供達が目覚めたときに、枕もとに置くようなお菓子を作ろうと思いまして、
正直、古いかなあとも思ったのですけど・・・・・(ｰｰ;)
インヤ、人生にロマンなくして何とする。誰もせずとも私はするんだ。
聖夜には、枕もとに靴下置いて私は寝るぞ。
（いったい何歳なんだ？　それに、間違いなく寝る時間はナイぞ〜）

ないわともあれ、サンタさんのブーツにクッキーを詰めてみたのですが、
大きな方のブーツはお菓子が入るわ、入るわ。もう予想以上にいっぱい入っちゃう。
まるで、大喰らいのカバみたい。
なんとなく、劇団四季のライオンキングを思い出しちゃうなあ。
エエイ、それならもう詰めれるだけ詰めちゃえということになりまして、
結果、大きなサンタブーツさんは、予定よりお値段が高めになってしまいました。
もっと低めに価格設定をしていたのですけど、すみません。
焼き菓子のメインは、サンタブーツ（大）のはずだったのですが、
現時点では、主役は（小）にとられております。

これ以外にも、ああすればよかった、こうすればよかったという(ｰｰ;)
数え上げればきりがないほど、たくさん反省点があるのですけど、
最初のクリスマスですもん、来年に架ける橋ということでＯＫにしよう。(^○^)
どうか、今年のクリスマスが無事に終わりますように。
アトピッ子ちゃん達やご家族の皆様が、楽しいクリスマスを過ごせますように。
いろいろな逆境や経済不況に負けないで、
人種や思想や宗派の違いを乗り越えて、
聖夜には、大勢の人々が、共に美しい夜空を見上げることができますように。
かなりはやいけれど、メリークリスマス。

　［2002年お菓子作り裏話］